2002.06.02更新

《月夜の道化師》は、公演を終了いたしました。
ありがとうございました。


文化庁芸術創造特別支援
 2002年 文学座 5月公演

 渡辺 えり子●作  鵜山 仁●演出



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配 役 物 語 どんな舞台? チケット最新情報


出演:
金内 喜久夫外山 誠二清水 明彦瀬戸口 郁大場 泰正助川 嘉隆
神保 共子南 一恵山本 道子栗田 桃子


:スタッフ:
装置
……
石井 強司
照明
……
金 英秀
音響効果
……
望月 勲
衣装 …… 原 まさみ
舞台監督
……
三上 博
演出補 …… 望月 純
制作
……
日下 忠男
…… 矢部 修治
票券 …… 松田 みず穂


2002年5月22日(水)〜6月2日(日)

新宿・紀伊國屋ホール
2002年 5月 6月
22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
開演
時間
13:30 - - - -
18:30 - - - - - - -

前売・予約開始●2002年4月19日(金)

料金(税込・全席指定)●¥5,500
学割 ¥3,800(取扱いは文学座のみ・詳しくはお問合せください)

お問合せ●文学座 03−3351−7265(10時〜18時/日祝を除く)

●チケット取扱い●
文学座 0120−481034(10時〜17時30分/日祝を除く)
チケットぴあ 03−5237−9988/03−5237−9999
       キノチケットカウンター(新宿東口 紀伊國屋書店 新宿本店5F 店頭販売のみ 10:00〜18:30)


【 配 役 】
花田 青児 …… 金内 喜久夫
…… 神保 共子
光男 …… 外山 誠二
良子(よしこ) …… 南 一恵
(えみ) …… 栗田 桃子
神林 竜子(たつこ) …… 山本 道子
鈴木 …… 清水 明彦
緑川 (まこと) …… 瀬戸口 郁
大野 正彦 …… 大場 泰正
木村 伸夫 …… 助川 嘉隆
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【 物 語 】

花田青児には光児という双子の兄がいた。
光児は子供の頃からすばしっこく、どちらかというと鈍重で素朴な青児は兄に翻弄されるばかり。
そんな兄が戦時中、何故か志願して予科練に入隊し、戦死してしまう。

 青児は今、75歳。いまだに独身で、
戦後はずっと光児の妻の、一人息子光男とその妻良子
二人の娘のと一緒に暮らしてきた。
光児の一家を青児が養ってきたのだが、これには様々な理由があった。

そのひとつは、光児が自分の身代わりに出征し
戦死したのではないかという、兄に対する負い目だった。
そしてもうひとつの理由。青児は春に恋していた。初恋だった。
それを要領の良い兄に奪われたのだが、春を支えたいという思いが青児にはあった。

 2つ年上の春はアルツハイマーで、正気と狂気の世界を行き来していた。
青児は必死で春の世界に付き合い、その世界の中で兄を演じているのだが、
時々どちらが本当の世界なのかわからなくなることがある。
またこの家には、青児の幼なじみで、昔から青児に思いを寄せている
女医の竜子も時々顔を出す。

青児には秘密があった。
元は兄の書斎で、今は青児の暮らす部屋に黒猫が迷い込み
住みつくようになってから、不思議なことが起こるのだ。
戦死したはずの兄が時折現われるのである。

青児はいつか春と結婚したいと思い続けている。
竜子も青児と一緒になりたいと思っている。
良子は光男と別れたいと思っている。
さてこの一家はどうなるのか?兄の戦死のナゾは解けるのか?
 庭の桜の大木を取り囲む闇。
その闇の中から時々現われるものの正体は?

青児には光児という双子の兄がいた。
青児は独身を通し、戦死した兄に代わって光児の一家を養ってきた。
その理由のひとつは、兄が自分の身代わりに出生したのではという負い目であり、
もうひとつは、光児の妻・が初恋の人だったからだ。
アルツハイマーの春に付き合い必死に『兄』を演じる青児にも不思議なことが起こる。
部屋に迷い込んだ黒猫が時々兄の姿に変わるのだ。
はたして現実なのか、夢想なのか……。

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【どんな舞台?】
待ち焦がれた月光
林 あまり(歌人)

 芝居を観るのが大好きな私。悲しいときも苦しいときも、芝居を観ることが心の慰めである。
 なかでも私にとって最も重要な意味を持つのが渡辺えり子の芝居だ。もし私が今後ただ一人の劇作家の作品しか観ることが許されないとしたら、ためらうことなく渡辺えり子の芝居を選ぶ。
 渡辺えり子の芝居と出合ったのは1982年、19歳の時だ。ある晩、なにげなくつけたTVの舞台中継の面白さに、すっかりひきこまれてしまった。登場人物は忙しく動き回り、押入を出たり入ったりし、押入の向こうにはまったく未知の世界がある、そんな芝居。
 新聞でチェックすると、作品名は『夢坂下って雨が降る』、劇団名は。この劇団の芝居、絶対にナマで観たい!と思った私は翌日「ぴあ」で調べ、さっそく次の公演『花咲く頃の憂欝』の前売チケットを買った。
 ところが芝居の当日、38度の熱が出た。あきらめようか、と悩んだものの、どうしても観たかったので、フラフラしながらも劇場に向かった。そして私は、文字通り熱にうかされながら、夢うつつの中で渡辺えり子の劇世界と遭遇したのである。
 そのときの衝撃はいまも忘れない。19歳の私は演劇ファンであったものの、魂をゆさぶられるような舞台にはまだ出合っていなかった。舞台に何を求めているのか、自分でもよくわからないでいた。
 しかし突然、すべてがはっきりしたのだ。  ああ、私が求めていたのはこれだったんだ。私の観たい芝居はこれだったんだ、と。それまでわけもわからず求めてきたものが、いきなり形をとって目の前に出現したのである。
 それからはもう、夢中で渡辺えり子の劇世界を追いかけた。『小さな夜とはてなしの薔薇』、『オールドリフレイン−花粉ノ夜ニ眠ル戀−』、『風の降る森』等々、いくつもの舞台が私の記憶の中でいまも輝いている。
 渡辺えり子の魅力は、なんといっても、その「夢みる力」にある。どんなつらい現実にあっても、主人公の夢みる力を奪うことだけは誰にも出来ない。夢みる力はどこまでも響きわたる笛の音のように、切なく私の胸に届く。
 そんな渡辺えり子作品が観られなかった期間があった。3○○解散後の数年間のことだ。私にとってこの期間がどれほどさびしく、つらかったことか。よそのどんな劇団の芝居を観ても心から楽しめず、いつも心のまんなかにポッカリ穴が開いたままだった。もう3○○の芝居は観られないのだ、永遠に失われてしまったのだと思うたび、胸の奥が痛くて痛くて途方に暮れた。
 だが、夜明けが訪れた。
 2001年、5月。渡辺えり子は新しいユニット宇宙堂をたちあげて、新作『星の村』を上演した。
 ああ、これだ。これだったんだ。ずっと埋まらなかった心の空洞を埋めてくれるもの  パズルの最後の1ピースがぴったりとはまるように、『星の村』は私の心の穴にはまった。舞台を見つめているだけで、涙があふれて仕方がなかった。
 孤独な初老の女を演じるもたいまさこの存在がまた良かった。私の飢えをじゅうぶんに満たし、さらに傷を癒し慰めてくれた。孤独をこのように演じてくれる役者がいるとはなんという至福。
 劇作家・渡辺えり子が帰ってきたこと、それは私の人生にとってかけがえのない喜びである。2002年初夏は宇宙堂の公演のほかに、初めての文学座への書き下ろしもあるというのだから、こんなにうれしいことはない。
 文学座公演のタイトルは『月夜の道化師』だという。久しぶりの渡辺えり子月<Vリーズか?とわくわくする。1989年の『月の上の夜』、1993年の『月に眠る人』といった月≠ノまつわる名作が思い出され、新作への期待をかきたてられずにいられない。
 大好きな『月に眠る人』のラスト近くのところで、こんな会話がある。
 看護婦 この部屋は明るいわね。お月様のせいで。
 重 吉 ええ。こんな光の中だと、自分が誰なのか判らなくなってしまいますね。

 自分が誰なのか私はずっと判らない。月の光を浴びて立ちつくすばかりだ。
 悲しさ、切なさ、美しさ  月の光は渡辺えり子の劇世界そのものだ。時を超え、場所を超えて、強く強く夢みる力。
 新作でどんな月の光を見せてくれるのか、いまはただひたすら待ち焦がれている。
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映画やテレビでもお馴染み、劇作家で演出家で俳優で、歌手でもある――まさにマルチな才能を存分に発揮して、八面六臂の大活躍を見せる渡辺えり子さん。その渡辺さん初の文学座書き下ろし戯曲『月夜の道化師』が、鵜山仁演出により5月22日に紀伊國屋ホールで開幕を迎えます。本当に楽しみです。ワクワクします。皆様もどうぞご期待ください。

 期待の新作『月夜の道化師』は、戦時中の記憶に捉われたまま老いを迎えた一人の男を巡って展開する悲喜劇で、戦後から今日まで続く『日本社会の闇』と『記憶』をテーマに、ある家族の人間模様がユーモラスに描き出されていきます。また今回は、作者の要望による俳優たちへの「当て書き」が実現し、演技陣の個性が十二分に発揮される仕掛けにもなっています。さらにまた、紀伊國屋演劇賞と読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞してますます好調の鵜山仁演出にも、どうぞご注目ください。

 ――登場人物の痛切な思いを軸にして、現実と夢の間を複雑に行き来する多重構造の戯曲が多い。(扇田昭彦・編「劇談」小学館)――と評される渡辺戯曲の魅力が、今回の舞台でどんな素敵な果実を結ぶでしょうか。本当に、本当に楽しみです。


渡辺えり子(わたなべえりこ)

 1955年、山形県生まれ。県立山形西高校卒業後、上京して舞台芸術学院に入学し、76年、同院専修科を卒業。劇団「青俳」演出部を経て、1978年、舞芸の同期生や青俳の仲間たちと共に「劇団2○○」を結成。80年に劇団名を「劇団3○○」と改め、劇団主催者・劇作・演出・女優の四役を兼ねる活躍が話題を呼ぶ。

  『モスラ』『タ・イ・ム』(いずれも79年)、『夢坂下って雨が降る』『カデンツァ』『夜の影』(ともに81年)で注目を集め、1983年、『ゲゲゲのげ―逢魔が時に揺れるブランコ―』で第27回岸田國士戯曲賞受賞。88年には『瞼の女―まだ見ぬ海からの手紙―』により第22回紀伊國屋演劇賞を受賞した。その他の劇作品には『花咲く頃の憂鬱』(83年)、『風の降る森』(89年)、『光る時間』『ガーデン』(ともに97年)などがある。また、NHKドラマ『音・静かの海に眠れ』(脚本)もプラハ国際グランプリを受賞。

 1998年3月に劇団3○○を解散したが、昨年、企画集団『宇宙堂』を旗揚げして劇団活動を再開。演出家・俳優としても数多くの舞台歴を持つ一方で、映画・テレビへの出演も多く、その活躍ぶりはつとに有名。近年のテレビドラマでは『踊る大捜査線・番外編』や『OUT』などでの演技が印象深い。映画では1994年に『忠臣蔵外伝四谷怪談』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を、97年に『Shall We ダンス?』で報知映画賞助演女優賞と日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞している。

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