| 平成15年 文学座11月公演 共催:くりっく 世田谷文化生活情報センター 平成15年度文化庁芸術団体重点支援事業 |
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RichardV |
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| 2003年11月1日(土)〜9日(日) 世田谷パブリックシアター(託児サービス有り) 〒154-0004 東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー3F 三軒茶屋駅[東急田園都市線(渋谷より2駅・5分)・世田谷線]直結 TEL 03−5432−1526 |
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| 【 公演情報 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
前売・予約開始●2003年9月20日(土) |
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| 入場料 | ● | 一般A席6,500円/B席4,000円 学生(取り扱い文学座のみ)3,800円 (託児サービス有り) |
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| (全席指定・税込) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ● | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ● | チケットぴあ 0570−02−9988 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| プッシュホン自動予約 03−5237−9966(Pコード 327−178) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ● | くりっくチケットセンター 03−5432−1515 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
お問合せ |
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文学座 企画事業部 担当:白田 聡・矢部修治 |
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| 03−3351−7265(10時〜18時/日曜・祝祭日を除く) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
託児サービスのご案内 |
■料金/2,000円(定員あり・要予約) ■対象/1歳児〜小学2年生 ■お申し込み/tel. 03-5432-1530 世田谷パブリックシアター ■受付時間/午前10時〜12時 ■お申し込み締切/ご利用希望日の3日前 ※ 障害のあるお子様についてはご相談ください。 |
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| 【 配 役 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 【 物 語 】 |
| 30年余りに亙る内戦、ランカスター家とヨーク家が王位を争って闘った薔薇戦争はひとまずヨーク側の勝利に帰し、エドワード四世が王位に付き、宮中は戦勝気分に酔っている。そんななか、王の弟リチャードは王位纂奪の野望に燃え、着々と計画を実行していく。 国王暗殺の噂を流して次兄のクラレンス公を逮捕させ、次には先王ヘンリー六世の皇太子妃アンを妻にと望んで言い寄る。義父と夫をその手で殺したリチャードを憎悪するアンも、その巧みな言葉に負けて、ついには彼が贈る指輪を受け取る。 リチャードは刺客を放って獄中のクラレンスを殺させ、弟の死を悲しんだ病身のエドワード王も死ぬ。王妃エリザベスは王子を連れて逃げるが、それを捕らえたリチャードは、幼い王位継承者をロンドン塔に幽閉。さらに腹心のバッキンガム公と謀って政敵たちを次々に排除して念願の王冠を手に入れ、盛大な戴冠式に臨むのだった。 しかし、そんな得意の絶頂も束の間。フランス亡命中のリッチモンド伯が反旗を翻して英国に上陸、ボズワース平原でリチャードの軍と対峙する……。 |
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| 【どんな舞台?】 |
| 9月5日に兵庫県尼崎市で幕を開けた『リチャード三世』の東京公演が、世田谷パブリックシアターでいよいよ始まりました。約二ヶ月の間に42ステージの上演を行い、より完成度の高まった舞台になりました。 さて、今回は遅まきながらこの公演のポイントを再確認しておきたいと思います。 まず、坪内逍遙訳とお知らせしておりましたので、英国人演出家が演出する明治の翻訳文体の、人間関係の複雑な歴史劇と思っていた方も、少なからずいらしたのではないでしょうか。 もちろん私共も古びた古典翻訳劇を上演するつもりは毛頭ありませんでした。そこで、まず演出のレオン・ルービンが英語台本を整理し、それを文学座スタッフが坪内逍遙の翻訳をベースに現代語へ置き換えていきました。また設定については薔薇戦争期のイングランドのままにして、かつ日本でもリアリティを感じられるようにと視覚的なイメージを東アジア各地の民族衣裳を取り入れてまとめ上げました。 さらに文学座では今迄あまり使われなかったニュース映像やビデオカメラによる擬似中継までが盛り込まれ、新たな臨場感を盛り上げています。ミサイルに内蔵のテレビカメラやインターネット経由で最前線の戦闘を茶の間で見ていられる現代を、巧みに表現できたのではないでしょうか。 またリチャードを演じる江守の、ユーモアに加えて相手を圧倒する迫力とのバランスの妙味。さらに何人もの独裁者のイメージが重層的に重ね合わさり、単純な残忍さだけに留まらない奥行きが、リチャードに付与されています。 そして、それに負けじと拮抗する中堅、若手の演技陣達。傾斜した舞台上での激しい動きであちこちに傷を負った者も多く、文字通りの激戦を毎回くりひろげています。 ここで、すでにご覧頂いたお客様の感想を紹介します。 舞台設定・衣裳・映像の組合せが斬新で面白かった。リチャードが少しコミカルで明るい感じがした。(女性) 序盤は少しドキドキする位堅く大丈夫かなと思いましたが、中頃から終わりにかけて、こちらが圧倒される迫力を覚えました。この10年程の間に何回か「リチャード三世」を観ましたが、今回が最も人間臭いリチャードで演出もとても気に入りました。(男性) R・ルービンが坪内逍遙訳の演出をするとは驚きでしたが、江守氏と楽しい舞台にされていました。(男性) 芝居が面白いっていうのは、人間が面白いっていう事。笑いがあってこそ悪が印象的なのだという事が良く判りました。(女性) 坪内逍遙訳ということで楽しみにして参りましたが、言葉が美しくて良かったです。(女性) とても判り易い演出。現代的で、それでいてユーモアもあり、悪の権化のような主人公のお芝居を楽しく見せていただきました。(女性) 冷酷陰湿な物語も、江守さんのリチャードの名演技と他の出演者のムードが独特で素晴らしく、救われる思いで観せて頂きました。(女性) ところで、先月にご紹介した1995年の映画『リチャード三世』で30年代風のリチャードを演じたサー・イアン・マッケラン。22歳でプロとなって以来40年以上に及ぶ俳優生活で、『オセロ』のイアーゴからロシアの怪僧ラスプーチンに至るまで、様々な怪物達を数多く演じてきました。そんな彼がこんな事を言っています。 「恐ろしい行為をおこなった人々から学んだ事があります。つまり、彼らはあまりにも人間的でありすぎた人々なのです。そして私達の誰もが、ありとあらゆる残虐な事を実行する可能性があるのです。」(R・オリツィオ『独裁者の言い分』松田和也訳、柏書房) 人それぞれが持っている大いなる可能性。そのプラスとマイナスの両面においてどちらに自分の存在を賭けるのか。そして結果は。舞台上に立ち現れるその瞬間を、しっかりと見届けてください。 |
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| 「リチャード三世は善人だった?」 石原孝哉(駒澤大学外国語部教授) リチャード三世といえば誰しも思い浮かべるのは、背中に大きな瘤を背負って、不恰好に足を引きずって歩き、その姿を見れば犬も吠え掛かるほどの醜男であろう。 しかし、これは歴史上のリチャードではない。天才シェイクスピアの筆によって命を吹き込まれたリチャードが、歴史という額縁を脱け出して一人歩きをしているのである。 リチャードの特徴を手短に述べるには特異な外見から語るのが早道である。中世には、健全な精神は健全な肉体に宿るように、邪悪な精神の持ち主は人相も悪く、その肉体までも醜悪であると考えられていた。リチャード悪人説は、ボズワースの戦いでヨーク家を倒したヘンリー七世がテューダー王朝を創設した以後に一般的になった。リチャードも、中世の諸王のように寛容さと同時に冷酷さをもっていたが、容貌魁偉な極悪人というレッテルは、明らかに後世の人々の偏見である。リチャードの在世中の記録には奇形を暗示するような記述は見当たらない。たとえば、1484年、国王リチャードに謁見したスペインの旅行者は、「自分より、指三本背が高かったが、がっしりした体格ではなく、痩せ型であった。手も足もほっそりしていたが、心は大きかった」と日記に書いている。種々の記録を総合すれば、「小柄で華奢な体つきにもかかわらず、勇気は人に倍して戦場で多くの武勲を立てた」となり、総じて、小柄にもかかわらず軍人としての資質が称えられている。 「背が曲がり」という記録が最初に現われるのは、テューダー王朝が成立して6年後の1491年で、「リチャードは偽善者で、背は曲がり、犬のように溝に葬られた」と記されている。同じ年に、『ラウスの書』という歴史書が現われ、そこには「母の胎内に2年いて、歯が生え、肩まで毛が生えた状態で生まれた」と書かれている。著者のジョン・ラウスはリチャードの生前に『ウオーリック伯爵の歴史』という本を書き、そこではリチャードを理想的な君主として称える文章を残しているから、リチャード悪人説はこの頃から加速していったものと思われる。 やがて、1513年にこのような悪人のイメージを決定づける本が現れた。トマス・モアの『リチャード三世伝』である。そこには、リチャードは兄達より「身の丈低く、手足の形悪く、背は曲がり、左肩が右肩よりずっと高く、顔つきは醜かった」、「帝王切開で足から先に生まれ、噂によれば歯も生えていた」と記されている。実はこれがシェイクスピアの『リチャード三世』の原型となった。それもそのはずで、シェイクスピアが直接参考にしたのは『ホリンシェッドの年代記』であったが、それは匿名で書かれたモアの『リチャード三世伝』を出典としているからである。モアはリチャードに関する詳細な情報を、当時自分が小姓として仕えていたカンタベリー大司教ジョン・モートンから得たとされるが、彼はバラ戦争時代にはリチャードの仇敵であった。ここで、史実、個人的な記憶、その後の風評などが入り混じって、ほぼ今日の原型ができたと思われる。 さて、奇形の決め手とされるウインザー城所蔵の肖像画は、死後30年も経ってから描かれたものであり、しかもエックス線調査で、肩の盛り上がりは後になって書き加えられえたことが判明した。「リチャードの悪行の多くは、悪いことの全てをリチャードのせいにして葬り去ろうとしたテューダー史観の産物である」というのが、善人説をとる人々の主張であるが、それでも悪人説を払拭できないのは「塔の中の王子殺害」ゆえであった。近年これに懐疑的な傍証がいくつか現われて、「リチャード善人説」が説得力を増している。 |
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| 秋の夜長の『リチャード三昧』 各地を巡演中の『リチャード三世』ですが、東京公演もいよいよ来月に迫ってきました。それ迄の秋の夜長、更に興味を深めて頂く為、今回は原作以外の幾つかをご紹介したいと思います。 《映画―1911〜1996》 『SILENT SHAKESPEARE』(Milestone Film & Video, MILE066/VHS) 1899年から1911年に英米伊で製作された7本のサイレント時代のシェイクスピア映画が収められている。『リチャード三世』は1911年にイギリスで作られたFrank R.Benson監督,主演の23分の作品。 『RICHARD V』1912年アメリカ(Kino Video/VHS) Frederick Warde主演、55分のサイレント。映像には彩色が施されている。ビデオではエンニオ・モリコーネの音楽が加えられた。 『リチャード三世』1955年イギリス。 ローレンス・オリヴィエ監督、主演による161分の本格的長編カラー版。ビデオが以前に発売されているのでレンタルで見ることができる。海外版ビデオはインターネット等で購入可能。 『リチャード三世』1995年アメリカ・イギリス 監督リチャード・ロンクライン、主演イアン・マッケラン。1930年代風の設定で、戦車の突入やビッグバンドの軽快な音楽の流れるパーティーなど、オリヴィエのような正統的歴史劇とは趣向はかなり異なっている。ビデオ・レンタル可能。DVDは国内未発売。 『リチャードを探して』1996年アメリカ。 アル・パチーノが初監督のドキュメンタリー作品。街頭インタビューや、出演者達との議論の場面などを織り交ぜながら「リチャード三世」撮影の進行をたどる。ビデオ・レンタル可能、廉価版の購入可能。DVDは未発売。 《映画―番外編》 『グッバイガール』1977年アメリカ。 皆さんご存知のニール・サイモンのコメディ。監督ハーバート・ロス、主演マーシャ・メイスン、リチャード・ドレイファス。売れない俳優ドレイファスに巡ってきた久々の大役がゲイ版「リチャード三世」。評判は……。ビデオ、DVD共に有り。 『大英帝国一のアホ/ブラックアダー』1983年イギリス。 「Mr.ビーン」でおなじみのローワン・アトキンソン脚本、主演のBBCのTVコメディ。ブラックアダー(黒へび)を名乗るアトキンソンが、ボズワースの戦いでリチャード三世の首をはね、リチャード四世(架空です)の世となる史実無根(?)のアトキンソン版英国史。ファンの方は是非どうぞ。ビデオ・レンタル可能。 『恋に落ちたシェイクスピア』1998年アメリカ。 監督ジョン・マッデン、主演グィネス・パルトロー、ジョセフ・ファインズ。シェイクスピア自身を主人公に、「ロミオとジュリエット」の創作過程を織り交ぜたラブ・ストーリー。アカデミー賞では作品賞をはじめ多くの部門賞を獲得。ビデオ、DVDレンタル可能。 《音楽―ロマン派からモダンバレエまで》 スメタナ Bedrich Smetana(1824〜84、チェコ)ドヴォルザークと並びチェコを代表する作曲家。 交響詩「リチャード三世」(1858) ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団“SYMPHONIC POEMS・PRAGUE CARNIVA L”/Supraphon SU0198-2011 フォルクマン Robert Volkmann(1815〜83、独)シューマンに認められたロマン派の作曲家。 序曲「リチャード三世」(1870) オンドレイ・レナールト指揮チェコスロヴァキア放送交響楽団“バトル・ミュージック”/ナクソス・クラシカル 8.550230 ジャーマン Edward German(1862〜1936、英)イギリスのオペレッタ作家として知られる作曲家。1888年にはグローブ座の音楽監督に就任。 劇付随音楽「リチャード三世」(1889) アンドリュー・ペニー指揮RTEコンサート・オーケストラ“付随音楽「リチャード三世」序曲、他”/マルコ・ポーロ8.223695 ウォルトン William Walton(1902〜83、英)舞台・映画・管弦楽曲等、ブリテンと並ぶ20世紀イギリスを代表する作曲家の一人。オリヴィエの3本のシェイクスピア映画の音楽は彼の手による。 映画音楽「リチャード三世」(1954) サー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ“Sir Walton's Film Music,Vol.4”/CHANDOS CHAN8841 トゥッティーノ Marco Tutino(1954〜、伊)1976年のデビュー以来、ヨーロッパを中心にオペラなどで活躍。 バレエ音楽「リッカルド三世」RiccardoV(1995) ステファン・アントン・レック指揮テアトロ・ソシアーレ・ディ・ロヴィーゴ楽団/Aura Classics AUR429 《朗読》 “KING RICHARDV”/NAXOS Audio Books NA321712 クラシックCDで有名なナクソスが、小説や戯曲の朗読をラジオドラマ風にCD化しているのが"NAXOS Audio Books"レーベル。本作ではケネス・ブラナーほか21名が出演。CD3枚組、3時間20分の堂々たる作品。ただし輸入盤の為、日本語対訳は無い。インターネットで入手可能。 《小説―リチャードを信じて 》 「リチャード善人説」をわかりやすく解き明かしたのが『時の娘』(ジョセフィン・テイ/小泉喜美子訳、ハヤカワ文庫/2002)。500年も前の国王の肖像画から始まる、歴史のパズルの解き明かし。 そしてもう一冊は『リチャード三世「殺人」事件』(エリザベス・ピーターズ/安野玲訳、扶桑社ミステリー(文庫)/2003)。『時の娘』のオマージュとなる一冊。「リチャード善人説」の信奉者達を襲う事件とは。 参考:「シェイクスピア大辞典」日本図書センター、 「クラシック音楽作品名辞典」三省堂 ※輸入盤等の取り寄せには1ヶ月以上かかる場合があります。 |
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| 『リチャード三世』がいよいよ始まりました。東京での舞台稽古の後、尼崎市のピッコロシアターで五日に初日を迎え、十一月迄の長期公演です。 ところで今回の作品、何人ものエドワードやヘンリーやジョンが入り乱れる、人間関係が複雑なイングランドの物語です。だから翻訳劇は苦手とおっしゃる方も多いと思います。そこで今回は、この物語の登場人物を簡単に紹介してまいります。当然の事ながら史実と物語には違いがありますが、 物語は歴史の影法師、 作者の光の当て方次第、 ゆがんでみたり縮んだり。 差し出がましく口を出し、 さらに混乱しますれば、 なかった事とお忘れを。 皆様方のご理解の、 一助になれば身の励み。 お叱り無くば幸いと、 次も真面目に努めます。 パックがお礼を申します。 ――退>場―― そして、主人公登場 グロースター公爵リチャード、後にリチャード三世 ヨーク公爵リチャード・プランタジネットの四男。その容姿は醜く、兄王への忠誠の言葉とは裏腹に、残忍性と飽くなき野心を隠し持っている。王位に就く為、兄クラレンス公爵の暗殺を皮切りに、邪魔な身内をも悉く抹殺し、利用できるものは何でも利用する。即位して間もなく忠実なバッキンガム公爵をも見捨て、次第に孤立。ボズワースの戦いで、リッチモンド伯爵の軍勢に敗れ、己の野望と共にヨーク家のイングランド支配は終焉を迎える。 エドワード四世 リチャードの長兄。父親ヨーク公爵リチャードの死後、ヨーク公爵を継ぐ。王位継承権を主張しランカスター家のヘンリー六世を倒し、エドワード四世として即位。エリザベス・ウッドヴィルを妃とし、娘と二人の息子を持つ。 クラレンス公爵ジョージ リチャードの次兄。兄エドワード四世にクラレンス公爵の爵位を与えられる。兄がエリザベスを王妃に迎えると舅ウォリック伯爵と共に兄に反目し、ヘンリー六世を支持するが、結局は兄の元に帰ってくる。弟リチャードの策略でロンドン塔に送られ暗殺される。 アン・ネヴィル ランカスター側のヘンリー六世の王子エドワードの妃だったが未亡人となり、敵対するヨーク側のリチャードの妃となる。リチャードの指示で毒殺されたという噂が広まったが、クラレンス公爵の子供達の暗殺と共に、史実とは異なるようである。 エリザベス・ウッドヴィル エドワード四世妃。ランカスター側の夫サー・ジョン・グレーが戦死した為、ヘンリー六世妃に奪われた領地を取り戻せるようエドワード四世に嘆願。王に見初められ、王妃の座に就く。 ヨーク公爵夫人シシリー・ネヴィル エドワード四世、クラレンス公爵、グロスター公爵リチャードの母。エドワードとクラレンスの死を嘆き、エドワードの妃、エリザベスとその息子ヨーク公爵を連れて一旦は教会に身を隠す。その後バッキンガム公爵とリチャードの策略でロンドン塔に幽閉された二人の孫(ヨーク公爵、エドワード皇太子)から遠ざけられ、やがて我が子リチャードを呪うようになる。 エドワード皇太子 エドワード四世の長男で、十二歳の少年として登場。ロンドン塔で弟のヨーク公爵と共に叔父リチャードの指示で暗殺される。史実では一四八三年父の死によりエドワード五世として即位するが、僅か二、三ヶ月でリチャードに取って代わられる。 ヨーク公爵リチャード エドワード四世の次男で五代目ヨーク公爵。叔父リチャードの指示で兄エドワード皇太子と共にロンドン塔で暗殺される。 マーガレット・プランタジネット エドワード・プランタジネット クラレンス公爵ジョージの子供達。リチャードの陰謀によりマーガレットは身分の低い紳士と結婚させられ、エドワードは幽閉の後処刑される。 バッキンガム公爵ヘンリー・スタッフォード 二代目バッキンガム公爵。リチャードやリッチモンド伯爵と同様、エドワード三世の末裔の一人。エドワード四世妃エリザベスの妹キャサリン・ウッドヴィルと結婚。 リチャードを王にする迄、その腹心として尽くすが、エドワード四世の幼い王子達の暗殺をリチャードに暗示され躊躇した事が命取りになり、最後は処刑される。 ヘースティングス卿 かつてエドワード四世がウォリック伯爵リチャード・ネヴィルに捕らえられた際、王を救出した功績を持つ。しかし王妃エリザベスの一派とは敵対、リチャードとは王位に就く手助けを拒んだ為、裏切り者として処刑される。 ダービー伯爵スタンリー卿 宮内長官としてエドワード四世に仕えていたが、妻マーガレット・ボーフォートの最初の夫との子供がリッチモンド伯爵という微妙な立場にあった。結果リッチモンドへの離叛を恐れたリチャードに実子ジョージ・スタンリーを人質にとられる。ボズワースの戦いの前夜、リッチモンドを訪れて積極的加勢が出来ない理由を説明、またリチャードにも援軍を送らなかった。史実では伯爵に叙されたのはボズワースの戦いの後。 騎士ウィリアム・ケイツビー もとは弁護士。まずヘースティングス卿に仕え、やがてリチャードの忠実な家来となる。1484年には下院議長を務めるが翌年ボズワースの戦いの後、ヘンリー七世の命で斬首される。 ノーフォーク公爵ジョン・ハワード サリー伯爵トマス・ハワード 親子でリチャードを支持し、ボズワースで戦う。父のノーフォーク公爵は戦死する。 リバース伯爵アンソニー・ウッドヴィル エドワード四世妃エリザベスの弟。義兄エドワード四世の死後、甥のエドワードの王位継承を支持した為にリチャードの指示で処刑される。 ドーセット公爵トマス・グレー リチャード・グレー卿 エドワード四世妃エリザベスと先夫グレー卿との間に生まれた兄弟。弟グレー卿と叔父にあたるリバース伯爵がリチャードに処刑されて、兄ドーセット公爵は母から敵側リッチモンド伯爵の元に身を寄せるようにいわれる。 リッチモンド伯爵ヘンリー・テューダー リチャードの即位後フランスに逃れ、後にボズワースの戦いでリチャード三世を倒し薔薇戦争をランカスター家側の勝利に導き、ヘンリー七世となった。ヨーク家からリチャードの姪(エドワード四世の娘)エリザベスを妃に迎え、テューダー朝がここに始まる。 枢機卿トマス・バウチャー カンタベリー大司教。エドワード四世の王子ヨーク公爵をエリザベス王妃から引き離すようバッキンガム公に説得される。 騎士ロバート・ブラッケンベリー ロンドン塔の塔監。ロンドン塔に送られたクラレンス公爵やエドワード四世の子供達を暗殺者に引き渡す。 騎士ジェームズ・ティレル 実在の人物で、1471年テュークスベリーの戦いの後ナイトに叙せられた。エドワード四世の二王子、エドワード皇太子とヨーク公爵リチャードを暗殺した罪により、ヘンリー七世の命令で1502年斬首される。 暗殺者 リチャードの依頼で、幽閉中のクラレンス公爵を刺殺しワイン樽に放り込む。 参考資料 荒井良雄・大場建治・川崎淳之助編『シェイクスピア大事典』日本図書センター/松岡和子訳『リチャード三世』ちくま文庫/福田恆存訳『リチャード三世』新潮文庫/小田島雄志訳『シェイクスピア全集V』白水社/出口典雄監修『一冊でわかるシェイクスピア作品ガイド37』成美堂出版 騎士リチャード・ラトクリフ リチャードの支持者で、ボズワースで共に戦死する。 騎士ジェームズ・ブラント リッチモンド伯の軍勢の指揮官。代々ランカスター家に仕える。 騎士ウォルター・ハーバート リッチモンド伯爵の支持者。 イーリー司教ジョン・モートン リチャードに背き、リッチモンド伯爵のもとに走る。 騎士トマス・ヴォーン リチャードの命によりリヴァース伯爵らとともに処刑され、ボズワースの戦いの前夜、亡霊となってリチャードのもとに現れる。 ヨーク大司教トマス・ロザラム リヴァース伯爵とグレー卿がリチャードとバッキンガム公爵に投獄されたと知り、辞任する。 クリストファー・アージック神父 司祭。リチャードがスタンリー卿の子供の身柄を拘束している事と、エドワード四世王妃エリザベスが娘とリチャードとの結婚に同意したというスタンリー卿の知らせをリッチモンドに運ぶ。 トレッセル バークレー リチャード三世妃アンの侍従。 ロンドン市長 リチャードの王位継承権を支持。 マーガレット ヘンリー六世妃。元はフランスのアンジュの公爵レニエの娘。史実ではテュークスベリーの戦いに破れ、五年間の幽閉後フランスへ送られ1482年に亡くなる。今回は登場しないが、『リチャード三世』の原典では、一幕でリチャードに対し強烈な呪詛の言葉を投げつける。 |
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| 『リチャード三世』稽古開始 夏、真っ盛りの候となりましたが、11月1日に東京公演の初日を迎えます『リチャード三世』は、東京にさきがけ9月5日から始まる地方公演に向けて、現在、イギリスから来日した演出のレオン・ルービンさんを始め江守 徹ら総勢30名を超えるキャストとスタッフが、夏休み返上で稽古に励んでいます。 11年ぶりのルービンさんと江守の顔合わせに対し、今年『ドン・ジュアン』を演出した西川信廣が助手として演出家とキャスト・スタッフとの調整役を務めるという、強力な体制で挑みます。また、海外の演出家とのコラボレーションは初体験というキャストがほとんどで、ベテラン、若手を問わず、いつもとは違った緊張感の中で稽古が進んでいます。 歴史劇『リチャード三世』 7月号でも少し触れましたが、シェイクスピアの37作品の内、イギリスのグレートブリテン島の中・南部を占めるイングランドの中世の王権にまつわる題材を扱った10作品が歴史劇と呼ばれています。 『ヘンリー六世』三部作と『リチャード三世』をあわせて「第一・史劇四部作」。ランカスター家を中心に描いた『リチャード二世』『ヘンリー四世』二部作と『ヘンリー五世』をあわせて「第二・史劇四部作」。そしてさらに『ジョン王』と『ヘンリー八世』が加わります。 『リチャード三世』は15世紀に、イングランドで約30年余りに亘って争われた薔薇戦争の後期を題材にした歴史劇です。すなわち1461年のランカスター家のヘンリー六世の死から、85年ボズワースの戦いでリチャード三世がリッチモンド伯に敗れて薔薇戦争が終結する迄の、リチャードの血生臭くどす黒い野望と挫折を描いています。 薔薇戦争 1455年〜85年の30年間に亘って、ヨーク家(リチャード三世側)とランカスター家(リッチモンド伯側)とが王位継承権をめぐっての血みどろの闘争を繰り広げました。 両家は元々、エドワード三世(在位1327〜77)の子孫になります。エドワード三世の死後、王位を継承したのがエドワード三世の長男の息子リチャード二世でした。しかし、その政策は議会や有力貴族と激しく対立し、結果、議会から廃位され、獄死します。 後を継いだのがエドワード三世の四男でランカスター家のヘンリー四世。結局このクーデターのような継承が、後に禍根を残すこととなりました。王位はその後ヘンリー五世、六世とランカスター家に継承されましたが、六世の時、エドワード三世の五男の孫に当たる三代目ヨーク公が自己の王位継承権の正当性を主張しだし、ついに1455年ロンドン北西のセント・オールバンズでヘンリー六世派とヨーク公派が戦い、ヨーク側が勝利しました。これ以後ランカスター家とヨーク家がイングランド王の座を巡って、30年間に十数回に亘る一進一退の内乱を繰り返します。 そして最終的に、リチャード三世を破り内乱をランカスター家の勝利に終わらせ、ヨーク家のエリザベスを后とし両家の融和を図ったリッチモンド伯ヘンリー(ヘンリー七世)は、王位継承の正当性を強固にする為に、ヨーク家の記章「白薔薇」に対し、ランカスター家の記章をあえて「赤薔薇」としたようです。そうして、先の内乱は「薔薇戦争」と呼ばれるようになったのです。 リチャードを探して ところで、どういう訳か今年は相次いで『リチャード三世』が上演されます。既に終了しましたが7月には演劇集団円が金田明夫主演のリチャードを上演し、12月から1月にかけては蜷川幸雄演出で市村正親主演のリチャードが再演されます。これだけ同じ作品が続けて上演される事も稀ですから、この競演、じっくりとご覧になってみてはいかがでしょうか。 また本国のイギリスでは、今年はエリザベス一世没後400周年という事で様々なイベントが予定されており、その一つとして、ロンドン市内を流れるテムズ川南岸に復元されているグローブ座で、今年5月から9月にかけてシェイクスピアの『リチャード三世』『リチャード二世』『じゃじゃ馬馴らし』とクリストファー・マーロー(1564〜93)の2作品が上演されています。エリザベス女王は、リチャード三世を破ったリッチモンド伯(ヘンリー七世)の孫にあたり、在位は1558〜1603年。シェイクスピア(1564〜1616)が大活躍したのは、まさにこの時代でした。なお今回の『リチャード三世』は女優だけで上演するというグローブ座初の試みで、他の演目と交互上演で9月27日まで上演されるとの事です。 また、8月22日は、1485年にリチャードが破れたボズワースの戦いの日です。ロンドンから約150km程北西に向かったバーミンガム郊外の古戦場跡は、Battlefield Visitor Centreという駐車場も整備された名所です。今年の夏休みにイギリスへお出かけの方は、ユーラシア大陸の反対側の「夏草や兵どもが夢の跡」にも足を延ばされてはいかがでしょうか。 |
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I am determined to prove villain And hate the idle pleasures of these days. ランカスター家との抗争に勝利し凱歌を挙げるヨーク家の中で、背徳の炎を陰鬱と燃やすグロスター公リチャード。 「いっそのこと敵役になって、あゝいふ馬鹿々々しい快楽を呪ってくれよう」鬱屈した魂がもたらした不敵な悪党宣言がこの物語の始まりとなる。 悪辣なる奸計によりライバルたちを次々に葬り去り、実兄の未亡人を声色巧みに陥落せしめる。 憎悪、背任、智謀。あらゆる背徳をその身に纏い、リチャード三世を名乗って王位簒奪の宿願は成し遂げられる。 振り返れば累々と築きあげた死の山。孤独の中、やがて破滅が訪れる・・・。 数あるシェイクスピア史劇の中でも異彩を放つ悪徳の王リチャード三世。 これまで数々の名優によって演じられてきた稀代の悪党に江守徹が挑み、国際的に活躍を続ける演出家であり互いに認め合う友人であるレオン・ルービンの演出により、「悪」の香り漂う至高の舞台が生まれます。 レオン・ルービン/ カナダ・マックスマスター大学院に在籍中、RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)の演出助手としてキャリアをスタートさせる。当時RSCの芸術監督だった名手トレバー・ナンのもとで経験を積みフリーに。各地で芸術監督を歴任した後、現在はロシアやタイなど国際的に活躍の場を広げている。昨年には著名な演劇の祭典「ストラットフォード・フェスティバル」(カナダ)で『ヘンリー六世』を演出して大成功を収めており、地続きとなる今回の作品をどう料理するか期待は高まる。 日本では、86年『リアルシング』(文学座)、92年『間ぬけ役』(銀座セゾン劇場)を演出。両作品とも江守が主演を務めており互いの信頼も厚い。 |
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| モリエールの『ドン・ジュアン』に始まり、シェイクスピアの『リチャード三世』が真打をとる、なんとも贅沢な2003年の文学座本公演。その掉美を飾るにぴったりの、シェイクスピア=作、坪内逍遥=訳、レオン・ルービン=演出『リチャード三世』は、9月5日、尼崎ピッコロシアターで初日の幕をあけ、中部・北陸・北海道などの各地を二ヶ月に亙って巡演、11月1日からは世田谷パブリックシアターでの東京公演へと続きます。期待される舞台成果については、今からすでに折り紙付きの保障付き。なにせ作品・演出・主演の三拍子が望み得る最高の形で揃ったのですから。 第一は作品。シェイクスピアの最初の成功作である『リチャード三世』は1592年頃に書かれ、同じく薔薇戦争を中心テーマとした先行の『ヘンリー六世』三部作と共に、第一・史劇四部作と呼ばれています。初演以来今日に至るまでの人気と上演回数において、後期の四大悲劇にも匹敵する世界的な名作ですが、その人気の秘密はなんと言っても主人公リチャードの圧倒的な魅力にあるでしょう。 リチャードの性格と行動はきわめて複雑で、単なる中世演劇の「悪役」の延長ではありません。醜悪な姿態をもって生まれついた彼は、しかし同時に、女心の深層を熟知する求愛者、権力の本質を透視できる権謀術数の戦略家、冷笑的なユーモア感覚を忘れない悪漢といった特異な性格ゆえに広く愛され、時代と国境を越えて観る者を惹きつけてきたのです。 第二は演出。レオン・ルービンさんは、母国イギリスを始め世界各国で広く活躍する演出家。つい昨年には演劇の祭典として名高いカナダの「ストラットフォード・フェスティバル」で『ヘンリー六世』を演出したばかり、それに続く「リチャード三世」となれば否が応でも期待は高まります。 日本では、1986年に文学座で『リアルシング』を、'92年に銀座セゾン劇場で『間ぬけ役』を演出。両作品とも江守 徹が主演を務めており、お互いの信頼は厚くコンビネーションも万全です。さらに、文学座の俳優たち、この厳選された素材をフルに活用してどんな逸品料理に仕上げてくれるのか、その包丁さばきがまことに楽しみなところ。 第三は主演の江守 徹。シェイクスピア劇への初挑戦は1972年で、アトリエの「シェイクスピア・フェスティバル」で上演された『ハムレット』は絶賛を博し、新しいハムレット役者の誕生を告げるものでした。'76年と'81年にも再挑戦、'81年には演出も手がけています。さらに『ハムレット』を翻案、'97年に『あ?!それが問題だ』を書き下ろして演出・出演、大きな話題を呼びました。 そのほかにも、'73年、日生劇場『オセロー』のイアーゴーで紀伊國屋演劇賞を受賞、同じく『オセロー』を'83年に文学座で演出、'87年にはサンシャイン劇場『マクベス』に主演するなど、シェイクスピアとの関わりは深く、また目覚しい実績を残してきました。 そんな江守 徹が初めて挑むリチャード三世、まさに折り紙付きの適役です。明晰な台詞術と瞬時に変化する感情表現、独自のユーモア感覚とシャープな身のこなしなどが、超ピカレスク、リチャード三世の悲劇性だけでなく隠れた喜劇性をも浮き彫りにしてくれることでしょう。 |
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| 【地方公演】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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