この作品は、1935年ニューヨークのべラスコ劇場で上演され大きな反響を呼びました。日本では、1937年に築地小劇場で劇団民藝の前身、新協劇団が『醒めて歌え』という題名で上演されました。主人公の少年(ラルフ)は、宇野重吉が演じた記録が残されています。
今年は、クリフォード・オデッツ生誕100周年にあたります。今回、12月アトリエの会で上演する運びとなり黒田絵美子さんに翻訳を依頼し、新しい時代解釈でこの作品に向き合います。旧約聖書に「塵の中に住まう者よ、目を覚ませ、喜び歌え。あなたの送られる露は光の露。あなたは死霊の地にそれを降らせます」とあります。大恐慌時代の閉塞した社会状況は、まさしく「死霊の地」であり、二人の若い世代にとっては、ベッシーが支配する「家」も、金に縛られている現実も「死霊の地」であったはずである。そんな不安定な社会情勢の中でラルフは、社会に対して主体的に生きていくこと決意します。そんなラルフの生き方は、オデッツの人間としてのあるべき姿を投影したと思われます。
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<演出家メッセージ>
『AWAKE AND SING!』日本語のタイトルでは「覚めて歌え!」と翻訳されることが多い作品ですが、日本では上演機会が少なく、アメリカでは演劇史に名の残る作品だそうです。この作品に出てくる“大恐慌”“ユダヤ人”“1930年”というキーワードは、一見今の私たちからすると、かなり遠い世界のような気もします。
しかし、この物語は、家族という枠組みの中で、時には楽しく、可笑しく、笑い転げながらも“生活”という日常のサイクルの中で誰もが持ち合わせる“自分の人生って・・・”と思い悩んでしまう人間たちのお話です。
家族であるからこそ幸せなこと、嬉しいこと、家族であるからこそ我慢しなくちゃいけないこと、苦しいこと。家族であるからこそ感じる悲喜交々の感情は今の私たちにも切り離せないものなのではないのでしょうか?
クリフォード・オデッツはこの『AWAKE AND SING!』の2ページ目に、次のようなことを書き記しています。
――― For my father and mother ――― 両親に捧げる
この言葉から察するように、この作品は遠い時代の遠い人たちのお話かもしれませんが、語られることは、今の私たちのお話なのかもしれません。
2006年トニー賞最優秀リバイバル賞受賞、日本では約70年ぶりの上演となります。
是非ご期待ください!
上村聡史