作家なかにし礼が第122回直木賞を受賞した代表作を自ら戯曲化し、文学座創立70周年の掉尾を飾る公演として、2008年に主演・平淑恵、演出・鵜山仁によって上演され好評を博した作品が地方公演として待望の再演となります。
長崎の古い歌を題材にし、丹念な取材と精緻で叙情溢れる文体で書かれたこの作品は、作詩家としても名を成した作家なかにし礼の真骨頂と言えます。出版後すぐに映画化され、その年の映画賞を総ナメにしたのも記憶に新しく、また、テレビ、舞台とあらゆるメディアで作品化されるなどその年の社会現象にもなりました。
文学座での初演においては主人公・愛八の「芸は売っても、心は売らない」芸者としての意地を貫き通した一人の女の生き様を、平淑恵が清々しく演じ切り、また古賀十二郎との汚れない魂の交流を通して見出した「長崎ぶらぶら節」「浜節」という歌の素晴らしさを余すところなく伝えて絶賛されました。
妓楼を舞台に、和装の俳優達による三味線や舞踊などの歌舞も揃い、文学座が先達の時代から作り上げてきた和物の伝統が巧みに息づき、色とりどりの華やかさの中に日本独特の美的感覚が細やかに表現されています。ぜひご期待下さい。