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ダウトDOUBT−疑いをめぐる寓話−
 


 『ダウトDOUBT−疑いをめぐる寓話−』はニューヨークのマンハッタン・シアター・クラブで2004年秋に初演されて評判になり、ブロードウェイのウォルター・カー劇場に移ってロングラン、その後2005年トニー賞最優秀作品賞とピュリッツァー賞をW受賞、作家自らの脚本・監督によりメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマン主演での映画化も決定した話題作の日本初演となります。ジョン・パトリック・シャンリィ脚本による『月の輝く夜に』はアカデミー賞脚本賞を受賞していることもあり、こちらも楽しみな作品です。
 舞台は1964年のN・Yブロンクスにあるミッション・スクール。厳格な校長シスター・アロイシスが、情熱的で活発な教師フリン神父と学校初の黒人男子生徒との間に抱いた「疑い」についての濃密な会話劇です。“密室”での出来事は本当だったのか? 若くて素直な新人教師であるシスター・ジェームスを通して、観客は「疑い」を体験し、フリン神父は白なのか黒なのか、観客ははっきりしないままに劇場を出ることになります。
 2004年初演のこの舞台がミュージカルでないストレートプレイとしては異例のチケット販売を記録し、ロングランヒットとなった背景には、この戯曲の舞台が世界の人々の行動、服装、道徳観、価値観が動いた激動の中心であった1960年代のアメリカであったことと、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ後に誕生したブッシュ政権による2003年3月イラク侵攻やその後の膠着化などに対する人々の意識の流れを無視出来ないと思います。作者は言います「ここ数年、ブッシュ政権になってから、国全体の雰囲気として、なんの理由もなしに、人々が確信してしまうという傾向が見えてきた」と。
 演出は2005年12月アトリエの会、キューバ危機の事態収拾をめぐるホワイトハウスの内部対立を描いた『ザ・クライシス』で鮮烈な文学座演出デビューを飾った望月純吉です。その後ニューヨークに渡り勉強を重ねて参りました。帰国後初の演出作品です。

                 吉祥寺シアター
 1949年にそれまでの勉強会とフランス演劇研究会を発展的に解消し、新しき実験室として新設された“文学座アトリエの会”ですが、翌年1950年に新築された信濃町のアトリエでジャン・ジロウド作『クック船長航海異聞』を上演以来57年間、ベケット、イヨネスコ、ウェスカーといった海外の前衛作家からまだ大家になる前の別役実、つかこうへいから最近では宮澤章夫、松田正隆、平田オリザといった日本の劇作家達の戯曲を、俳優や演出家やスタッフの修行の場として、前衛的、実験的な作品を次々と上演し続けて参りました。そして、今年アトリエに隣接する稽古場の建て替え工事にともない1年間に限り“2008年文学座アトリエの会”の三作品を財団法人武蔵野文化事業団の協力を得て、吉祥寺シアターで上演する運びとなりました。