文学座

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作家・演出家・主演
作家/なかにし礼
   
   
   
   
 
戯曲 赤い月
 

<作家/なかにし礼
■メッセージ

小説『赤い月』の構想は、昭和二十一年十月末、引き揚げ船を降りた八歳の私が、祖国日本の土を踏みしめた時に生まれはじめていたといっても過言ではない。満洲体験は、成長するにつれ私の精神の核となり、表現されることを求めて、日一日と私を内側から突き上げつづけていた。私が、人生の後半を迎えてから小説を書きはじめた理由はそこにある。 私は『赤い月』を書きたいがために作家になったのだ。『赤い月』は映画、テレビドラマ、ラジオドラマと様々なジャンルで再創造されていくが、文学座で舞台化されるにあたっては、なんとしても自分の手で戯曲化したいと思った。もう一つの『赤い月』を書き下ろしてみたい。 青春の頃から私は文学座を愛してきた。戯曲『赤い月』を携えて、私が生まれた年に初公演をしたという文学座の長く輝かしい歴史に参加できることを心から嬉しく思っている。主演は平 淑恵、演出は鵜山 仁、みなさまのご期待にこたえたいと思う。
なかにし礼

 

■プロフィール

1938年、中国黒龍江省牡丹江市生まれ。8歳の時に帰国。
立教大学文学部仏文科在学中、『知りたくないの』のヒットを機に作詩家となり、ヒットメーカーの作詩家として『今日でお別れ』『石狩挽歌』『時には娼婦のように』『北酒場』など訳詩を含め約4,000曲の歌をつくる。日本レコード大賞、ゴールデンアロー賞など受賞歴多数。
98年に発表した小説『兄弟』で直木賞候補となり、翌年上梓した『長崎ぶらぶら節』で第122回直木賞を受賞。作家活動に主軸を移し、01年には本作の原作となる『赤い月』、02年『てるてる坊主の照子さん』(NHK連続テレビ小説『てるてる家族』原作)、03年『夜盗』、04年『さくら伝説』(以上、新潮社刊)などこの分野でも次々にヒット作を生む。本年3月には新刊『黄昏に歌え』(朝日新聞社刊)が上梓された。
一方、舞台も数多く手掛け、オペラ『ワカヒメ』(台本・演出/NHKホール)『静と義経』(台本・演出/鎌倉芸術館)、オラトリオ『ヤマトタケル』(台本・作詩・総演出/国技館・日本武道館)、歌舞伎・舞踏・オペラを融合した世界劇『眠り王』(作・芸術総監督/日本武道館)『源氏物語』(総プロデュース/東京国際フォーラム)など活躍は多岐にわたる。