開発から30年が過ぎたニュータウンを舞台に、定年を迎えたオジサンたちの哀歓を
ユーモアたっぷりに描いた重松清のベストセラー小説を舞台化。
演出の西川信廣は舞台化にあたりその思いを次のように述べています。
『かつては華やぎ、若やいでいたが、今や老人の街と化したニュータウン。
そこに住む主人公たちは、戦後の日本経済を支えてきた企業戦士たちです。
昔、希望あふれていた街が数十年経ち、老人ばかりの朽ち果てた淋しい街になろうとは誰が想像したでしょう。
これは、日本各地にあるいわゆるニュータウンで起こっている現実の問題です。
そこには、団塊の世代の問題も重なります。
つまり、必死に働いてきた男たちが求めてきた「幸せ」とは何だったのかが、
重くそして可笑しく語られます。
同時に戦後日本が求めてきた「幸せ」とは何だったかも重なります。
私は、切実で、辛口で、それでいて人間の可笑しさを炙り出したこの原作の舞台化は、
必ずや中高年以上の男性の共感を呼び、劇場に足を向けさせるに相応しいテーマだと思います。』
老朽化した街と自分自身を重ねて嘆く定年ゴジラたちを、
文学座を代表する川辺久造、加藤武、坂口芳貞といったベテランが魅力的に演じます。
心温まるヒューマンストーリーにぜひご期待下さい。