文学座

upper line

イントロダクション
イントロ
   
   
   
 
ぬけがら
 


2005年に「文学座アトリエの会」(稽古場公演)として上演された『ぬけがら』は 思いもよらぬ発想から醸し出される笑いと涙で多くの人の心を捉え、 翌年には第50回岸田國士戯曲賞を受賞しました。 また作家と同じ名古屋育ちの演出家・松本祐子も毎日新聞社主催第8回千田是也賞を受賞するなど、 大きな反響を呼んだ作品です。その後も評価は高まり続け、2007年5月に紀伊國屋サザンシアターで再演。 初演以上の評判を得て、この作品が劇空間の大小に影響を受けることのない完成度の高い戯曲であることをあらためて実証しました。 作者、佃典彦の父君が常日頃から語っていた戦時中のエピソードから着想して生まれたこの作品は、父親の人生を逆に辿っていきながら、 戦争と敗戦という特異な体験を経た男の様々な昭和の戦後史が、それぞれの時代の世相を反映しながら見事に描かれています。 出演者は、80代の「父親」役から20代の「父親」役まで、各年代の役を6人の俳優が演じますが、女優陣も含めて、 役の年齢に近い各世代の俳優の出演は、文学座ならではの配役といえましょう。 初演以来、作品内容に留まらず、装置、小道具への細かな目配りに対しても高い評価を得ています。 この『ぬけがら』こそ、作者、演出家、キャスト、スタッフの総合力で生まれた作品といえましょう。