文学座

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イントロダクション
あらすじ
   
   
   
 
ぬけがら
 

<あらすじ>

 夏、県営住宅の一室。昨日母親の葬儀を済ませ、今日は妻に離婚届を突きつけられ捺印を迫られている男、鈴木卓也。 42歳の元郵便局員。彼は、学生時代の友人との浮気がばれ、車で人身事故を起こし、職場もクビになる始末。 心臓の悪かった母親は、度重なる心労であえなく他界。そして、残されたのは、84歳になる認知症(痴呆症)の父親ただ一人。 男は失禁した父親をトイレに連れて行ったが・・・その後気が付くといつの間にか深夜。 父親を探してトイレで見たものは、なんと父親の〈ぬけがら〉。 そして脱皮したらしい父親は20歳若返り、元気そのもの。 その後も、まるでセミのように脱皮を毎日繰り返し、父親はドンドン若返ってゆく。 男は、若返る父親に戸惑いを感じるしかなかったが、若返るとともに知れる父親の過去を現前にして、 今まで置き去りにしてきた父親との絆を今あらためて感じるのであった。