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オトコとおとこ
 


 『オトコとおとこ』は、2001年『牛蛙』、2003年『バラード』に続いて川村毅が文学座アトリエの会に書き下ろす3本目の作品です。『牛蛙』は埼玉県で実際に起きた保険金殺人事件を、また『バラード』は看守と女囚が獄舎内で関係を持つ、というこれまた実際の事件を素材に描かれており、『牛蛙』では《実在の事件を思わせるが、川村の戯曲はそれを超え、戦後日本の消費主義の中でグロテスクに歪んだ人々の心をえぐり出す。(中略)どの人物が生きているのか、死んでいるのか、あいまいなのが、示唆に富む》(毎日新聞・高橋豊氏)、 『バラード』では《生(性)と死をめぐるバラード(物語詩)の感じで、グロテスクな人間模様が次々と展開していく。不思議なおかしさに満ちていて、客席からは笑いが絶えない》(同じく高橋氏)などの評価を得ました。前2作への高い評価が、『オトコとおとこ』への期待をより大きくしていると言えましょう。 川村毅は、今回もさらに喜劇を意識して書いたと述べています。作者の言葉どおり、作品の随所に笑いの仕掛けが施された作品の誕生です。また作者の「団塊の世代のオトコたちに是非みてもらいたい作品」との言葉どおり、戦後を駆け抜けてきた人たち必見の作品といっても過言ではありません。  演出は、2004年の『テラ ノヴァ』で鮮烈なデビューを飾った高橋正徳。 1978年(昭和53年)生まれの高橋が、〈昭和〉とどう向き合うのか、その点も大いに期待されるところでしょう。