TOP公演情報>一銭陶貨 ~七億分の一の奇跡~

文学座公演  

『 一銭陶貨 ~七億分の一の奇跡~    

作:佃 典彦
演出:松本祐子

                


→ 公演ブログ

 

 第二次世界大戦末期、金属不足に対応する窮余の策として「せともの」で製造された「一銭陶貨」。お上にさんざん振り回され、結局世に出ることのなかった「一銭陶貨」。
 現在、「ものづくり日本」というキャッチフレーズで職人の技が評価されています。事実、高い技術を持つ人々が日本の経済を支えてきました。そこには道を究めるというキレイゴトだけでは片付かない欲望や嫉妬や承認願望もまた渦巻く。
 技術の進歩や経済効果を支える人間の営為ーその愚かしくも愛おしい姿を、生活の中のユーモアを掬いあげることに定評のある佃典彦が描きます。演出は、『喝采』(加藤健一事務所)『罠』(俳優座劇場プロデュース)など劇団外での活躍も目覚ましい松本祐子。文学座でのコンビ第1作『ぬけがら』では、岸田國士戯曲賞(佃)・千田是也賞(松本)を受賞しています。

昭和19年、愛知県瀬戸。
加藤家は代々、陶芸家の家系で瀬戸の町では一目置かれた存在である。
加藤嘉男は一流陶芸家でかつては瀬戸の赤鬼と称される程の才能の持ち主だったが、今はただの酒好きで妻のトヨには全く頭が上がらない。
この家には二人の息子がいる。長男の和雄は陶芸の才能豊かで学校でも優等生、しかし今は戦地に赴いている。
一方、次男の昭二は幼い時の事故がもとで足が不自由、陶芸の才能にも乏しく、徴兵不合格の身でお国のためにもならない役立たずである。
そしてもう一人、三年前からここでお手伝いさんとして働いている秋代。賢くはないが、前向きなのが取り柄の娘である。

戦況が厳しくなり、陶芸の窯の燃料の石炭にも不足し、瀬戸の職人の中には代用品として、陶製の手榴弾を作り始める者もあらわれる。トヨは大事な長男を奪い、瀬戸の職人の仕事も奪いつつある戦争のことを憎んでいる。

そんな時、陶器会社の井上がある報せを持って来た。 金属不足を補うために大蔵省は金属貨幣に替えて陶器貨幣を発行することを決定、有田、瀬戸が製造地として選定されたというのだ。話を持ってきた井上も、割れない陶器のお金を作ることの難しさは重々承知しているが、上の決定には逆らえないので、加藤家に話を通そうとしたのだ。 しかし、トヨは「何がお国のためだ!」と猛反対。嘉男も、そもそも技術的に無理だと主張する。
ところが、その話を聞いていた昭二は違った。
「これを成功させたら兄貴を見返すことが出来る」
昭二は今までの鬱積の全てを陶貨作りにぶつけようとするが…。

    


    


    


撮影:宮川舞子


佃 典彦
(つくだ のりひこ)

1964年愛知県名古屋市生まれ。劇作家、演出家、俳優。名城大学卒。 劇団B級遊撃隊主宰。きわめて突飛なシチュエーションを使い、ストレートかつリリシズムあふれる世界を、笑いでいろどりながら作品化する。 1987年の第3回名古屋市文化振興賞を受賞した『審判~ホロ苦きはキャラメルの味~』をはじめとし、読売演劇大賞優秀作品賞など多数の受賞歴を持つ。 戯曲のほかに、ラジオドラマ、テレビの脚本の仕事も多い。第50回岸田國士戯曲賞を授与された『ぬけがら』は文学座アトリエの会への書き下ろし。 また俳優としてテレビドラマ『半沢直樹』に出演し話題となった。



  松本祐子


大阪府生まれ。1992年文学座付属演劇研究所入所、1997年文学座座員に昇格。 1999年文化庁在外研修員として1年間ロンドンで研修。 文学座内外で様々な種類の作品を演出。2002年『ペンテコスト』の上演に対して第9回湯浅芳子賞受賞。 2006年『ぬけがら』、『ピーターパン』の演出で第47回毎日芸術賞の千田是也賞受賞。 2020年『ヒトハミナ、ヒトナミノ』『スリーウインターズ』の演出で第54回紀伊國屋演劇賞個人賞、第27回読売演劇大賞最優秀演出家賞受賞。 『スリーウインターズ』は読売演劇大賞優秀作品賞、第12回小田島雄志翻訳戯曲賞、第7回ハヤカワ「悲劇喜劇」賞も受賞。 2021年『五十四の瞳』の演出で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 日本演出者協会理事、桜美林大学、明治大学非常勤講師。

     

鵜澤秀行

中村彰男

高橋ひろし

上川路啓志

奥田一平

奥山美代子

髙柳絢子

平体まひろ

 

□スタッフ
美術:杉山 至 照明:賀澤礼子 音響:今西 工 衣裳:宮本宣子 
舞台監督:加瀬幸恵 演出補:的早孝起 制作:前田麻登
宣伝美術:Koichan

 

    

  
月日 会館名 主催団体 tel
3/17~19 木~土 下関市生涯学習プラザ 海のホール 下関市民劇場 083-232-4065
3/20、21 日、月 イイヅカコスモスコモン 中ホール 飯塚市民劇場 0948-22-9370
3/22 田川文化センター 大ホール 田川市民劇場 0947-44-6380
3/23 ユメニティのおがた 大ホール 直方市民劇場 0949-25-2629
3/25~29 金~火 北九州市民劇場 中劇場 北九州市民劇場 093-541-0075
3/30 別府ビーコンプラザ
フィルハーモニアホール
別府市民劇場 0977-21-6608
4/1 J:COMホルトホール大分 大ホール 大分市民劇場 097-532-0365
4/3 メディキット県民文化センター
演劇ホール
宮崎市民劇場 0985-62-0075
4/4 都城市総合文化センター 中ホール 都城市民劇場 0986-21-8082
4/5、6 火、水 宝山ホール(鹿児島県文化センター) 鹿児島市民劇場 099-224-2888
4/8、9 金、土 熊本県立劇場 演劇ホール 熊本市民劇場 096-322-0500
4/11~15 月~金 ももちパレス 大ホール 福岡市民劇場 092-771-8671
4/17 島原文化会館 大ホール 島原市民劇場 0957-63-3137
4/18~20 月~水 長崎市民会館 文化ホール 長崎市民劇場 095-823-6588
4/21 諫早文化会館 大ホール 大村諫早市民劇場 0957-24-1015
4/22 アルカスSASEBO 大ホール 佐世保市民劇場 0956-22-5294
4/24、25 日、月 佐賀市文化会館 中ホール 佐賀市民劇場 0952-26-0791
5/14 名古屋文理大学文化フォーラム
(稲沢市民会館)
いなざわ演劇鑑賞会 0587-24-0001
5/15 幸田町民会館 さくらホール 幸田演劇鑑賞会 0564-63-3833
5/17 岡崎市民会館 あおいホール 岡崎演劇鑑賞会 0564-22-4693
5/18、19 水、木 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
主ホール
豊橋演劇鑑賞会 0532-54-1079
5/20、21 金、土 岐阜市民会館 大ホール 岐阜勤労者演劇協議会 058-263-4396
5/22 江南市民文化会館 大ホール 尾北演劇鑑賞会 0587-55-9346
5/24 知多市勤労文化会館 つつじホール ちた半島演劇鑑賞会 0562-77-9392
5/25、26 水、木 日本特殊陶業市民会館
ビレッジホール
一般社団法人 名古屋演劇鑑賞会 052-932-3739
5/27 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢(伊勢市観光文化会館) いせ演劇鑑賞会 0596-22-3060
5/29 七尾市文化ホール
(七尾サンライフプラザ)
七尾演劇鑑賞会 0767-52-0834
5/30、31 月、火 富山県民会館 富山演劇鑑賞会 076-431-1022
6/1、2 水、木 富山県高岡文化ホール 大ホール 高岡演劇鑑賞会 0766-21-0027
6/3 野々市市文化会館フォルテ 大ホール 金沢市民劇場野々市鑑賞会 076-294-1488
6/5 石川県音楽堂 邦楽ホール 金沢市民劇場 076-263-5057
6/6、7 月、火 砺波市文化会館 大ホール となみ演劇鑑賞会 0763-33-0725
6/8 新川文化ホール(MIRAGE HALL)
大ホール
魚津演劇鑑賞会 0765-24-6635
6/11 長岡リリックホール シアター ★  公益財団法人 長岡市芸術文化振興財団 0258-29-7715
6/20 函館市芸術ホール(ハーモニー五稜郭) 函館演劇鑑賞会 0138-51-7376
6/22、23 水、木 旭川市民文化会館 大ホール 旭川市民劇場 0166-23-1655
6/24、25 金、土 北海道立道民活動センター
かでるホール
NPO法人 演劇鑑賞会北座 011-241-7081


★長岡リリックホール以外の公演は「全国演劇鑑賞団体連絡会議」加盟の各地鑑賞団体(会員制)による主催公演です。会員以外の方はご覧頂けません。観劇ご希望の場合は各団体へのご入会をお勧めします。詳細は右欄の連絡先にお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。



文学座 03-3351-7265 ( 10:00→18:00日祝除く )
〒160-0016 東京都新宿区信濃町10