若手座談会
 

【文学座公演『地獄のオルフェウス』『夏の夜の夢』若手座談会〜前編〜】


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『地獄のオルフェウス』公演情報はこちら


2023年4月下旬。文学座公演『夏の夜の夢』に出演する池田倫太朗(以下、池田)、奥田一平(以下、奥田)、平体まひろ(以下、平体)、渡邊真砂珠(以下、渡邊)、そして『地獄のオルフェウス』と『夏の夜の夢』に出演する小谷俊輔(以下、小谷)が集結し、座談会を開催しました!
実は偶然にも池田と奥田が53期の同期であり、小谷、平体、渡邊の3人は57期の同期。研究所時代の思い出から現在の5人について、更には今後出演する作品の魅力について、前編・後編と分けてお届けします!

―自己紹介をお願いします。
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池田:池田倫太朗です。鹿児島県出身32歳。7歳と3歳の子どもがいます。よろしくお願いします。
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奥田:奥田一平です。大分県出身、31歳です。
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平体:平体まひろです。札幌出身です。お酒がめちゃくちゃ好きです。着物を着てお酒を飲むyoutubeをやっています。
奥田:着物は何着くらいあるの?
平体:着物が35着でどんどん増えていってて、帯は60本くらいあります。知り合いや先輩方からいっぱいもらってます。
奥田:質屋に入れたら高く売れそう。
平体:売れるかな〜? でも、将来的にはいくつか、劇団の後輩に譲ろうと思ってます。
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渡邊:渡邊真砂珠です。福岡県出身です。お酒が好きで最近ワインにはまってます。
小谷:ワインバーとか行く?
渡邊:行きます。白ワインが好きです。
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小谷:小谷俊輔と申します。京都出身です。小谷は関西に多い苗字で、東京ではあまり見ないですね。最近は大谷さんが活躍してますが、大と小の違いはありますけど、名前負けしないように頑張っていきます。

―みなさん地方出身なんですね。
奥田:一人だけ北で、後はみんな西だね。
司会:あんまり方言とかでないですよね。
池田:でるでる、でるよ!
渡邊:本科(研究所1年目)に入ったときは、ずっと福岡弁だった。
平体:確かに〜。
小谷:鹿児島と大分は違うんですか?
奥田:違う。鹿児島のほうがどぎついかな。
池田:本科の頃にイントネーションが「違うよ!」って、鵜澤さん(鵜澤秀行)に言われてました。
奥田:僕も本科で『女の一生』の発表会をやってる時も、イントネーションでダメ出しされましたね。
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―研究生時代の話題が出ましたけど、講師をしていた座員の方との思い出などはありますか?
池田:いっぱいあるでしょ。
奥田:各講師から言われたダメ出しは覚えてるかな。
池田:例えば?
奥田:祐子さん(松本祐子)から、「貰うのは上手いけど、人にあげるのは下手」つまり、「誰かからエネルギーを貰うのは上手いけど、それを返せてないから、そこは頑張れ」とか言われた。
一同:へえ〜。
奥田:彰男さん(中村彰男)からは、「今学んでいることは、5年後に身につく。だから役者ってやめられないんだよね」って言ってたのは覚えてる。
平体:私も同期の小石川(小石川桃子)とずっと言ってることがあって(笑)入所式で講師の皆さんが一人一人話すときに路恵さん(寺田路恵)が「150円あれば、ほうれん草が買えるからカップラーメンじゃなくてほうれん草を買いなさい」って言ってたのをめっちゃ覚えてる。
一同:おおー。
小谷:真砂珠は演劇未経験だったから、声枯らしちゃったり大変だったよね。
平体:枯らしてた!
渡邊:声が出ない状態で舞台に立ってました。本当に声が出なくて・・・。
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奥田:元々は何をしてたの?
渡邊:ダンスですね。
奥田:何で文学座に?
渡邊:1年くらい、ドイツにダンス留学してた時に演劇とかいろんな舞台も観て、このままダンス続ける? って考えて、もうちょっと他のこともしたいって思ったのと、東京に出たいっていうのもあって、東京で演劇を学べる文学座に入りました。
池田:1発で受かったの?
渡邊:はい。
池田:エリートじゃん。筆記試験とかできた?
渡邊:たぶん、できたんじゃないかなと…
池田:俺、線を結ぶやつとか全然わかんなくて全部間違ってたみたいだけど、唯一△だったのが、鉄腕アトムの作者は?っていう問題でテンパリすぎて手塚アトムって書いた問題だけだった。それで落ちたしね。
奥田:でも、補欠合格だっけ?
池田:そうそう。留守電に補欠合格って入ってて、入所できた。小谷くんは? 思い出とかある?
奥田:ひたすら筋トレしてたんでしょ?
小谷:昔は筋トレしてたけどもうやめました。(笑)
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―それでは『地獄のオルフェウス』が間もなく開幕ですが、作品の魅力をお聞かせください。
小谷:光か影か、生きるか死ぬか、愛か無関心か、そういった二項対立の中で揺れ動く人間性が色濃く出ていて、時代に左右されないテーマを書いている。『地獄のオルフェウス』は作家であるテネシー自身「書きすぎた」と言う部分もあるけど、そのごちゃっとした実に雑多な感じが、この前行ってきたニューオーリンズの空気感と似ています。ニューオーリンズはあらゆる人間を受け入れてくれると感じる街。そのドロッとした空気感が作品にも色濃く反映されていると思う。
平体:私はニューオーリンズを知らないのに、テネシーのどの作品にも色濃くニューオーリンズの空気感を感じる気がする。その限定された世界観で普遍的なテーマを書いているのが好き。

―池田さんは『ガラスの動物園』に出演したことありますが、テネシー・ウィリアムズ作品の魅力は?
池田:テネシーは作品には出てこないけど、どういう人なのか終演後に想像する余地があって、脳みそがすごい疲れた。
平体:私的ですよね。自分のことと、自分の周りで起きたことを反映させているような。
池田:うん。あと、『欲望という名の電車』のブランチは『ガラスの動物園』のアマンダと近しいものを感じたので、『欲望という名の電車』のあとに『ガラスの動物園』を上演したらまた違った感じになりそう。
奥田:僕は『欲望という名の電車』でユーニスを演じた中川さん(中川雅子)の豪快な演技が好きで、中川さんがいるだけで下町の雰囲気が凄く出て、文学座にこんな俳優さんがいるんだって思いました。何回もお会いしたり話してますけど、いざ舞台で見ると違った雰囲気になる女優さんで、文学座にはそういう人が多いって思いました。

―最後に小谷さん、ヴァルを演じるにあたっての意気込みとご来場の皆さまへメッセージをお願いします。
小谷:「ヴァレンタイン・ゼイヴィア」という役名は、テネシー・ウィリアムズ自身が自らのペンネームにしようと考えていたものです。それだけ自身の哲学を濃厚に反映させた役なのでしょうか。一生懸命がんばりますので、みなさまのご来場おまちしております!

後編へ続く…



(文・構成:谷口邦明 インタビュー・構成:梶原 優)