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文学座4月アトリエの会

「 最後の炎 」
        Das letzte Feuer

作:デーア・ローアー
訳:新野守広
演出:生田みゆき

日程:2018年4月14日[土]→28日[土]
会場:信濃町 文学座アトリエ
後援:公益財団法人 日独協会
   在日ドイツ商工会議所
協力:ゲーテ・インスティトゥート 東京ドイツ
   文化センター


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 2018年文学座アトリエの会では、昨年のテーマである「新しい台詞との出会い」を踏襲した上で、現代を「戦後再考」という視点から炙り出します。誰もが目を背ける現代社会の現実を執拗に容赦なく描く、ドイツ現代演劇を代表する劇作家デーア・ローアー。過酷な苦しみとわずかな希望を抱えてもがく人々の“生”を、独自の詩的かつ叙事的な言葉であぶり出す衝撃作です。本作では戦争と死がテーマの1つであり、それらが人にどんな影響を及ぼし続けるか…。しかしその破壊がどれほど大きくとも、その延長に人は立ち、生きていくのだという小さな覚悟を、文学座アトリエの濃密な空間で創造します。
 演出を手掛けるのは文学座で第2作目となる生田みゆき。昨年12月のアトリエの会『鳩に水をやる』で、劇団「はえぎわ」のノゾエ征爾氏が書き下ろした奇妙な劇世界を軽妙かつ温かみある作品に仕上げました。今回デーア・ローアーの独自の文体と鋭い描写を舞台上にどのように立ちあげるのか、どうぞご期待ください。

紛争地域からの帰還兵がある町にやってきたところに、パトカーの追跡を振り切ろうと一台の自動車が猛スピードで通りかかった。たまたま道でサッカーをしていた子供が驚いて飛び出し、帰還兵の目の前でパトカーにはねられてしまう。
事故死した子の家族、パトカーを運転していた女性警官、追跡を振り切った後自宅にひきこもる青年、青年に車を貸していた元教師、自分の爪を削り続ける帰還兵…。ひとつの死によって人々の日常生活は静かに結びつく。
耐えきれない現実の痛みをやさしさで消し去ろうと絡み合う、無名の人々の愛の物語。



デーア・ローアー(Dea Loher)

1964年ドイツ、バイエルン州生まれ。92年『オルガの部屋』でデビュー。同年『タトゥー』、93年『リヴァイアサン』で、演劇専門誌「テアター・ホイテ」の年間最優秀新人劇作家に選ばれる。ドイツ語圏の新作戯曲が集まるミュールハイム市演劇祭では、93年『タトゥー』でゲーテ賞、98年『アダム・ガイスト』で劇作家賞を受賞。2006年にはブレヒト賞を受賞。ブレヒトの社会演劇を後継する現代劇作家と目され、世界各国で翻訳・上演されている。2008年『最後の炎』では二度目のミュールハイム市劇作家賞受賞に加え、「テアター・ホイテ」の年間最優秀劇作家に選ばれる。2009年ベルリン文学賞、2017年ヨーゼフ・ブライトバッハ賞ほか、受賞多数。


  生田みゆき
(いくた みゆき)


デーア・ローアーの2つの作品『無実』『最後の炎』の日本語版出版に寄せて、作家は以下のように語っています。「もしこの二作品のテーマはと問われて私がなにか言えるとすれば、…それ(『無実』『最後の炎』)は生ける者と死せる者にまつわる二つの物語であると。私たちが失ってしまった人たちが私たちの行いや考えにいかに影響を及ぼし続けるか、死者が私たちのなかで私たちとともにいかに生き続けるか。」
今年のアトリエの会の切り口である「戦後再考」とは、戦争が終わったことを前提とした言葉ですが、第二次世界大戦(あるいはそれ以前)からつながる戦争や紛争や暴力によって、今日も失われる命があります。日本が自国の現代史を「戦後」と一括りにすることで、それらの諍いを日本人はあまりに蚊帳の外として認識していないかと自戒を込めて考えたときに、私たちは死者の声にもっと耳を傾けることはできないか、苦しみもがき生きる人々に寄り添えないかと、半ば祈るように思います。
『最後の炎』では多くの人々が子供の死を目撃していませんが、目撃していないからこそ苦しみ、「一人でいるよりたくさんのことを知ることができるはずだから」と物語を語り始めます。失われた真実を模索するようなローアーの言葉は、この混沌とした現実に何とか立ち向かおうとする決意に満ちて聴こえます。歴史の教科書には記されないような、小さな記憶を丹念に拾い集めたようなセリフを足掛かりにしつつ、現代という時代、私たちという存在を確かにアトリエ空間に浮かび上がらせたいと思います。



大阪府出身。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。2011年文学座附属演劇研究所入所(51期)。2016年座員に昇格。2010~2014 年、「ペーター・コンヴィチュニー オペラ演出ワークショップ」(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール主催)に参加。2016年夏、ドイツ文化センターの文化プログラムの語学奨学金(芸術分野対象)を得て、ドイツに滞在。2017年、ドイツ同時代演劇リーディング・シリーズ『ガールズ・イン・クライシス』(作: アンネ・レッパー、訳: 小畑和奏、ドイツ文化会館ホール)、文学座アトリエの会『鳩に水をやる』(作/ノゾエ征爾)演出。2018年には第8回したまち演劇祭 文学座有志による久保田万太郎作品『あしかび』(1月26日~29日)の演出を手掛けた。本作が、文学座演出2作目となる。 



倉野章子

高橋紀恵

大場泰正

松井 工

鬼頭典子

上田桃子

西岡野人

奥田一平

 

□スタッフ
 美術/乘峯雅寛 照明/賀澤礼子 音響/藤田赤目  衣裳/伊藤早苗 舞台監督/黒木 仁
 フライヤーデザイン/京 (kyo.designworks) 制作/後藤久美子・鈴木美幸 制作補/梶原 優
 

 

    
4月 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
 
14:00  









 


 
19:00
 
   
     

   

 

★=アフタートーク

アフタートーク★① 4/18(水)19:00の回終演後『ドイツ現代戯曲から見つめる“私たち”の現在いま
                   岡田利規(演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰) + 生田みゆき(演出)

アフタートーク★② 4/23(月)19:00の回終演後『デーア・ローアーの劇世界』
                   新野守広(翻訳) + 倉野章子 + 大場泰正 + 生田みゆき(演出)


□前売開始 2018年3月14日(水)
文学座支持会 先行前売3月9日(金)/パートナーズ倶楽部先行前売 3月7日(水)
(全席指定・税込)
一般前売 4,300円
当日券 4,600円※1

◎ユースチケット 2,500円 (前売・当日共に、25歳以下・文学座のみ取扱い) ※2


※1 = 当日券は開演の3時間前から専用の電話回線 (03-3353-3566) にて先着販売となります。
※2 = ユースチケットはご観劇当日、年齢を証明するものをご呈示いただきます。
     


□チケット取り扱い

○文学座チケット専用 0120-481034(シバイヲミヨー)
  (10時~17時30分/日祝を除く)

   ≪ご送金方法≫
    銀行振込: 三菱東京UFJ銀行 四谷支店 
            普通口座 4360713 (株)文学座切符代金口
    郵便振替: 00170-4-91348 株式会社文学座

     ※文学座チケット専用ダイヤルにてチケットをご予約の上、
     必要に応じてご送金をお願い致します。ご予約時にもご案内致します。

チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード484-308)
e+(イープラス)(PC・携帯共通)
○文学座公式HP(Gettiiカンフェティ版より)
          ※ご利用方法→→ ご購入『最後の炎』



文学座アトリエ 〒160-0016 東京都新宿区信濃町10 
TEL:0120-481034/03-3351-7265
JR中央・総武線「信濃町駅」より徒歩5分
東京メトロ丸の内線「四谷三丁目駅」より徒歩9分


文学座 03-3351-7265 ( 10:00→18:00日祝除く )
〒160-0016 東京都新宿区信濃町10