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文学座公演

「 女 の 一 生 」

作:森本 薫 / 補訂・演出:戌井市郎による
演出補:鵜山 仁



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森本薫の戯曲『女の一生』が誕生し、舞台公演として人々の目に触れたのは1945年4月。久保田万太郎演出で初演された。太平洋戦争は苛烈を極め、僅か一ヶ月前の3月には東京大空襲により10万人以上が犠牲となる。この4月には戦艦大和が沖縄へ向けて出撃するも鹿児島沖で轟沈。敗戦の影は確実に人々を覆い始めていた。
そんな状況下でも芝居を創る情熱を絶やさなかった当時のメンバーたち。その中に杉村春子もいた。ヒロイン布引けいを演じ、その後の彼女の代表作となる本作は、久保田万太郎から戌井市郎の演出作品として再演を重ね、杉村主演の上演回数は947回におよんだ。
常に再演の期待が高いこの作品は、杉村自身の意向により生前に布引けい役を平淑恵にゆずり、演出はその後も戌井市郎が担当。戌井市郎と平淑恵の『女の一生』は269回を数えた。

2014年、戌井市郎の演出を鵜山仁が引き継ぎ、戌井エッセンスを汲み取りつつ新たな『女の一生』の創造がはじまった。出来上がった作品は、現代に呼応した新たな『女の一生』としてよみがえり、森本戯曲の持つ台詞の美しさと現代に通じるメッセージ性は多くの人々の共感を得、近畿・九州・静岡を巡演し、三越劇場での公演を含めて96回を数えた。
明治の末より第二次世界大戦終了時までの「時代を生き抜く≪女性≫の生き方」を描く普遍的なテーマが人々の心を震わせる本作。今回、山本郁子が新たに布引けいを演じ、更なる高みを目指して首都圏・神奈川の鑑賞団体を巡演する。

明治38年(1905年)、日本がようやく近代的な資本主義国家となり始めた頃、天涯孤独の境涯にあった<布引けい>は、不思議な縁から拾われて堤家の人となった。清国との貿易で一家を成した堤家は、その当主もすでになく、息子たちはまだ若く、<しず>が弟章介とともに困難な時代を生きていた。やがて<けい>は、その闊達な気性を見込まれ、長男伸太郎の妻となる。次男栄二に寄せた思慕は断ち切られ、<けい>は正真正銘、堤家の人となる。 やがて時は流れて……。

森本 薫 もりもと・かおる

1912年に大阪市で生まれた。三高在学中の1932年処女戯曲 『ダムにて』を発表し、1934年、同人誌「部屋」に掲載された 『一家風』が小山祐士と田中千禾夫の目にとまり、 執筆を依頼されて書いた『みごとな女』が岩田豊雄に賞賛される。 1935年『華々しき一族』、36年『かくて新年は』を「劇作」に、 『衣裳』を「文芸」に発表。稀有な早熟の天分を存分に開花させてゆく。 38年に結婚し、まもなく上京したが、前年に発足した文学座の「試演」と名づけた第一回公演に『みごとな女』が取り上げられた。 40年岩田豊雄の勧めで文学座に入座、以降、劇団初の座付き作家として活躍する。 森本薫の最後の戯曲となった『女の一生』は、1945年4月の東京で、空襲の合間を縫うように上演された。 京都に疎開した森本薫は肺結核が再発し病床で敗戦を迎える。 46年に『女の一生』のプロローグとエピローグを戦後の時点に書き直した後に夭折。 享年34歳だった。



  鵜山 仁
(うやま ひとし)
慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。 舞台芸術学院を経て文学座附属演劇研究所に入所(17期)/1982年、座員に昇格。
ウィット溢れる演出術で俳優の意外な一面を引き出す手腕と 、言葉から着想される膨大なイメージをあらゆる表現・素材を使って劇空間に現出させる力に定評がある。
2004年、第11回読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞を受賞。その後も休む間も無く傑作を生み出し続ける。 2007年6月~2010年8月、新国立劇場の第四代演劇芸術監督を務める。 主な代表作に『グリークス』(第25回紀伊國屋演劇賞団体賞)(文学座)、 『コペンハーゲン』(新国立劇場/第9回読売演劇大賞優秀演出家賞) 『父と暮せば』『円生と志ん生』(以上こまつ座) 『ヘンリー六世』(新国立劇場)またオペラやミュージカルなどの演出も手懸ける。


                 

赤司まり子

山本郁子

松山愛佳

藤﨑あかね

松岡依都美

下池沙知

石川 武

大滝 寛

今村俊一

鈴木弘秋

上川路啓志

原 凜花
(劇団東俳)
交互出演

原島凛々
(テアトルアカデミー)
交互出演

 

□スタッフ
  装置/中嶋正留 照明/古川幸夫 音響効果/秦 大介 衣裳/中村洋一 床山/上田喜三郎
  演出助手/稲葉賀恵 舞台監督/黒木 仁 制作/白田 聡
  宣伝写真/鶴田照夫 宣伝美術/太田克己  

 
                    

 下記の公演は「全国演劇鑑賞団体連絡会議」加盟の各地鑑賞団体(会員制)による主催公演です。
 各公演については右欄のお問合せ先にご連絡をお願いいたします。
  2016年   

  
月日 会館名 主催団体 tel
1/23 KOTORIホール
(昭島市民会館)
三多摩演劇をみる会 042-523-5031
1/25-28 月-木 千葉県文化会館
(大ホール)
ちば演劇を見る会 043-245-2886
1/30 四街道市文化センター ちば演劇を見る会 043-245-2886
2/2-5 火-金 船橋市民文化ホール ふなばし演劇鑑賞会 047-422-6434
2/8 板橋区立文化会館 板橋演劇鑑賞会 03-3962-7105
2/9-10 火-水 さいたま市文化センター 埼玉市民劇場 048-824-6661
2/13 北とぴあ
さくらホール
城北演劇を観る会 03-5390-3155
2/14 響きの森
桶川市民ホール
大宮演劇鑑賞会 048-649-0539
2/16-17 火-水日 八王子市芸術文化会館
いちょうホール
演劇をみる会「あさかわ」 042-657-4082
2/19 町田市民ホール 町田演劇鑑賞会 042-726-9325
2/22-23 月-火 さいたま市民会館おおみや 大宮演劇鑑賞会 048-649-0539
2/25-26 木-金 練馬文化センター
(大ホール)
ねりま演劇を観る会 03-3948-2015
2/27 松戸市民会館 松戸演劇鑑賞会 047-369-5359
3/1 所沢市民文化センター
ミューズ(中ホール)
所沢演劇をみる会 04-2924-1099
4/2 横須賀市文化会館
(大ホール)
横須賀演劇鑑賞会 046-822-5821
4/3 藤沢市民会館
(大ホール)
藤沢演劇鑑賞会 0466-24-1747
4/4-5 月-火 鎌倉芸術館
(大ホール
鎌倉演劇鑑賞会 0467-46-4042
4/7 茅ヶ崎市民文化会館
(大ホール)
茅ヶ崎演劇鑑賞会 0467-51-6005
4/9 幸市民館 川崎さいわい市民劇場 044-244-7481
4/10 海老名市文化会館 海老名演劇鑑賞会 046-234-2766
4/11-12 月-火 川崎市総合福祉センター
エポックなかはら
川崎市民劇場なかはら 044-455-7950
4/13 平塚市中央公民館 ひらつか演劇鑑賞会 0463-24-3265

文学座 03-3351-7265 ( 10:00→18:00日祝除く )
〒160-0016 東京都新宿区信濃町10