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文化庁文化庁文化芸術振興費補助金
(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))
独立行政法人日本芸術文化振興会

     後援:新宿区


文学座公演
『華岡青洲の妻』

作:有吉佐和子
演出:鵜山 仁
   
日程:2025年10月26日(日)~11月3日(月祝)
   
会場:新宿南口紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
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劇団の先達が残してきた財産的演目の数々。それを演じてきた世代から若い世代に「継承」してゆくことは創立88年を迎える文学座の使命の一つであると考えます。着物の着方、所作といったものだけでなく、人生の機微が滲みでるような「和もの」芝居の伝承は文学座がこの先90年、100年を迎えるために必要不可欠なものです。
有吉佐和子の名作『華岡青洲の妻』は、戌井市郎による演出で1970年に初演され、その後文学座内外で数多く再演されてきました。舞台のみならず映画、テレビドラマにもたびたび取り上げられています。
文学座としては四半世紀ぶりにキャストも一新し上演致します。
世界初の麻酔薬開発の背後にある嫁姑や家族間の人間ドラマが、セリフから紡ぎ出される芳醇なイメージを劇空間に出現させる演出家・鵜山仁の手によって現代によみがえります。

今から200年ほど以前、天明の頃。紀州紀ノ川沿いに医術を業とする華岡家があった。
後継ぎの雲平(青洲)が京に遊学中、母の於継は近郷の名家の娘加恵を請うて青洲の嫁に迎えた。
加恵は子どもの頃から憧れていた美しい於継に嫁としてよく仕えた。於継も嫁の加恵を実の娘以上にかわいがり、その睦まじさは人もうらやむほどであったが、やがて青洲が京から帰郷すると様子は一変。二人は青洲をめぐって姑と嫁の争いをつのらせていった。

一方、無頓着な青洲は麻酔薬の研究に没頭し、紀州きっての名医と言われるまでになった。研究も進み、麻酔薬の完成には、人体実験を残すだけとなると、於継と加恵は競って実験に身を捧げると言いだす。母として妻として、実験台になることを譲らない二人の確執は結局、後継ぎの子を思い、夫を思うすさまじいばかりの女の争いに他ならなかった。
実験台を得た青洲は着々と実験の成果を上げていくが、やがて加恵はそれがもとで視力が衰え、ついに失明するに至るのだった……。


有吉佐和子
(ありよし・さわこ)

1931年、和歌山県生まれ。東京女子大学短期大学部在学中、雑誌『演劇界』の懸賞論文に入選。52年に卒業後は『演劇界』の嘱託となり文化人の訪問記を執筆。初代吾妻徳穂の秘書も務めた。56年「地唄」が文学界新人賞候補、芥川賞候補となり文壇デビュー。紀州を舞台にした『紀ノ川』『有田川』『日高川』三部作、『連舞』『一の糸』『乱舞』等の芸道物、『華岡青洲の妻』(女流文学賞)、『出雲の阿国』(芸術選奨文部大臣賞)、『和宮様御宿』(毎日芸術賞)等の歴史小説、認知症を扱った『恍惚の人』や環境汚染を取り上げた『複合汚染』など多彩なジャンルで話題作を発表した。その文学世界はたびたび舞台化、映画化、ラジオ・テレビドラマ化され、自ら脚色や演出を担った作品も多い。劇作家として、歌舞伎、人形浄瑠璃、新派、新劇、ミュージカル、宝塚歌劇、日本舞踊に脚本を提供し、文学座には『光明皇后』と『ふるあめりかに袖はぬらさじ』を書き下ろした。

【文学座の『華岡青洲の妻』上演歴】
1970年 文学座本公演 (東横劇場・国立劇場大劇場) 演出・戌井市郎
1971年 文学座・松竹提携公演 (京都南座) 演出・戌井市郎
1972年 文学座本公演・35周年記念 (東横劇場) 演出・戌井市郎
1987年 文学座本公演・50周年記念 (国立劇場大劇場) 演出・戌井市郎
1996年 文学座・松竹提携公演 (サンシャイン劇場) 演出・戌井市郎
1998年 文学座本公演・60周年記念 (紀伊國屋サザンシアター) 演出・江守徹
2000年 2001年 地方公演 演出・江守徹


今回の『華岡青洲の妻』、嫁姑の愛憎劇からの小さなジャンプを心がけたいと思います。身体をいわば元手にして生命を造り続ける女たち、その設計図を引く男たち。背景には人ひとりの一生を超える死生観があります。嫁から姑への代替わりは、年長者の死を前提にしています。しかしその宿命に抗うように、自らの命を最後の切り札として闘う女たちのドラマ。さらに面白いのは、そんなドラマを前にした、男たちの振舞いです。嫁姑の確執を、むしろ麻酔薬の開発に振り向けるような狡猾さと強さ。まことに「男というものは凄いもの」で、「男と女というものは、この上ない、恐ろし間柄」なんですね。 

 


鵜山 仁
(うやま・ひとし)

慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。
舞台芸術学院を経て文学座附属演劇研究所に入所(17期)/1982年、座員に昇格。
ウィット溢れる演出術で俳優の意外な一面を引き出す手腕と、言葉から着想される膨大なイメージをあらゆる表現・素材を使って劇空間に現出させる力に定評がある。
2004年、第11回読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞を受賞。2007年6月~2010年8月、新国立劇場の第四代演劇芸術監督。
主な代表作に『グリークス』(第25回紀伊國屋演劇賞団体賞)(文学座)、『コペンハーゲン』(新国立劇場/第9回読売演劇大賞優秀演出家賞)など。2020年、紫綬褒章受章。
近年の文学座公演では『夏の夜の夢』、『オセロー』の演出を手掛ける。



 
 

小野洋子

石川 武

つかもと景子

金沢映実

大原康裕

吉野正弘

畑田麻衣子

吉野実紗

釆澤靖起

奥田一平

川合耀祐

小谷俊輔

平体まひろ

 

□スタッフ
美術:乘峯雅寛 照明:古宮俊昭 音響:秦 大介 衣裳:岸井克己
舞台監督:加瀬幸恵 演出補:大内一生 制作:前田麻登、梶原 優、最首志麻子、友谷達之
宣伝美術:三木俊一(文京図案室) 宣伝写真:宮川舞子



                          
10月 26 27 28 29 30 31 11/1 2 3
  月祝
13:30 ○★ ○★ ○★
16:30
18:30

※開場は開演の30分前

★=終演後、アフタートークあり

□前売開始 2025年9月12日(金) 10:00~(オンラインチケット先行) / 11:00~(電話予約)

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紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
〒151-0051 渋谷区千駄ヶ谷5-24-2 
タカシマヤタイムズスクエア南館7階 
TEL:03-5361-3321
JR新宿駅南口徒歩8分



文学座 03-3351-7265 (10:00~18:00 / 土日祝除く)
〒160-0016 東京都新宿区信濃町10